「え?」 「特別感を味わわせたいの」 直也の、ぽってりした厚いくちびるから出た言葉は、まるで予想もしなかった言葉だった。 ……特別感? 直也のたまにしてくることは、どれもわたしに特別感を味わわせるためだったの? ずっと、ただの猫系男子かと思っていたけれど。 直也は、そのぽってりしたくちびるの端っこと端っこは、きゅっと上に上がった。 「びっくりした顔……まるで、特別なことがあったような感じがして、かわいいから」