あなたの優しさは私しか知らない

「はい」

この人も綺麗な人だな。


「ちょっと、話あるんだけどいいかな?」

「はい」


私は、黒いベンツに乗り込んだ。


「僕、黒崎 実 」

「有栖川 麗妃 です」

「よろしくね」

「はい」

「.......単直入に言うね」

彼が、その言葉を発したとき、車内
が凍りついた。
「仁分かるよね?」


「.......はい」



「もう、関わらないでほしいんだ」


「.......それは、仁さんが 危ない人だからですか?」


「うん、深く関わらない前にはやく 離れて欲しい .......あいつは 普通じゃない 麗妃ちゃんが 後悔する前に もう 合わないで欲しい」

「はい」

わたしは、その言葉しか 出てこなかった
多分、この 忠告は 実さんの優しさなんだろう。

こうして、私が傷つく前に 仁さんから遠ざけようとしている。


_____実さんから "忠告"を受けて2週間が過ぎた。

私が、東のまちに行くことは なくなった。

私は、実さんの 優しさを無視することが出来なかった。


琳は そんな私に 何も聞かなかった。

まるで、分かったかのように。



仁さんと 会わなくても 生活の支障にはならなかった。
琳は最近 先生に呼び出されるらしい。

だから、私は最近 一人で帰っている。

すると、また 私の隣に高級そうな黒いベンツが止まった。

______バンッ

勢いよく ドアが開いた。

「ッえ」

ビックリ 多分その言葉が 今の状況にぴったりだと思う。

___ギュッ


「すまない」

高級そうな黒いベンツから出てきたのは
野獣だった。
「.......仁さん?」

どうして、彼がここに ここは 西の街なはず。

しかも、なぜ 彼に"抱きしめられているのだろう"


___バタンッ


運転席のドアが開いた。

「麗妃ちゃん ごめんね 仁が どうしても 麗妃ちゃんに会いたいって言うから 連れて来ちゃった」


実さん?


____ッス

仁さんが、私の体から離れた。
「実に何か言われか?」

彼の声を聞く度に胸が高鳴る。

「はい」


「お前が、会いたくないのなら俺はもう会わない お前の意見を聞かせて欲しい」


私の答えはもう、決まっている。


「会いたい.......仁さんに会いたいです」


「あぁ」

彼は、私に優しく微笑んだ

「ッ/////」

私の頬に熱くなるのが分かった。


仁さんが、笑った.......。
「あの、仁が 笑ってる.......」

実さんが 仁さに指をさして 驚いている。


仁さんは、あまり 笑わないのだろうか。


仁さんの 新しい1面を知れて嬉しい。

「ここでは、目立つから 麗妃ちゃん 車乗ってね」

「はい」

私は、仁さんに続けて車に乗り込んだ。
「いきなり押しかけてゴメンね」

「大丈夫です」

「麗妃ちゃんが来なくなってから 仁の機嫌が悪くてね もう、大変だったよ」

「オイ」

彼の声が、車内に響いた。

「ップ」

実さんが、声を殺して笑っている。

「ところで、今日は用事ないの?」

実さんは、私に振り返っ待て質問してきた。


「はい、ないです」

「お友達は?」