「13番、もしかして皇くん……?」
「おー、そーだよ」
「借り物競走でも皇くん、ぶっちゃけてたもんねー! 俺の指令、冴えてるなー!」
「うるせー」
「さ、それじゃ皇くん、指令どおり森下ちゃんにキスを」
「え、待って……!」

 焦って後ずさるわたしの肩を、皇くんが逃すまいというようにがしっと掴んだ。

「往生際わりぃぞ。俺はちょうどよかったよ」

 妖しげな光を瞳に灯し、小さく笑ったかと思うと、皇くんが片手でふにっとわたしの両頬を挟む。
 そしてみんなに聞こえるようにか声を張りあげた。

「桃、キスするぞ」