すると、その時。

「じゃ! 盛り上がってきたところで王様ゲーム始めまーす!」

 隣に先生たちがいるなんて思ってもいない男子が、いきなり高らかと宣言をした。よりによってそんなきわどいゲームを……と思っている間にも、未使用の割り箸を使った即席くじを引かされる。

「王様は俺だ!」

 興奮したように王様だと名乗り出たのは、クラス1のひょうきん者男子だ。
 彼はじーっと一周みんなに視線を向けてから、王様である赤い印がついた割り箸でびしっと宙を差した。

「じゃあまずは、4番が9番に、自分の恥ずかしエピソードを耳打ちで打ち明ける!」

 危惧した内容よりもだいぶマイルドな指令に、教師陣がすぐ近くにいる手前、ほっと安堵する。