希望制の打ち上げに皇くんが参加するのは意外だったけど、体育祭をとおして打ち解けたのか、ここに来るまでにも男子とも楽しそうに話していた。

「ん? どうしたの?」
「昼間のことだけど」

 顔を寄せ、ぼそっと皇くんが切り出した。

「昼間?」
「電話した時、あんたのそばにあいつ、綾木がいただろ」
「え……」

 いきなり図星を突かれ、思わず動揺してしまう。もしかして、電話に先生の声が入ってしまっていたのだろうか。
 先生が近くにいたところでなにも問題ではない。けれど、抱きしめられたことを思うと、すごく後ろめたい気持ちになる。