*
その後、応援合戦やクラス対抗リレーを終え、体育祭は無事に幕を閉じた。
そしてその夜。
「体育祭2位を祝してかんぱーい!」
高校近くのレストランで、クラスでの体育祭の打ち上げが行われた。
クラスは最終的に6クラス中2位まで追い上げたけれど、残念ながら優勝を逃し、先生のスピーチを聞くことはできなかった。
「さきちゃんのスピーチ聞きたかったな~」
「それはちょっと残念だよね」
女子たちの残念そうな声を聞きながら、入り口横の端に座ったわたしは、ぐびっと一口オレンジジュースを飲んだ。
女子たちが打ち上げに先生のことも呼んでいたけれど、教師陣での打ち上げがあるらしく、来ることはできなかった。
けれどほっとしている自分もいた。だって今、先生の前でどんな顔をしたらいいか分からない。
でも明日からはもちろん、普通に学校で顔を合わせることになる。なにもなかったように振る舞った方がいいのかと、ぐるぐる考え込んでいると。
「桃」
隣から名前を呼ばれた。隣に座るのは皇くんだ。