3月4日
今日は学校で身分証明書の作成に使う写真の撮影と、それに伴い頭髪検査が行われた。
先生はよく検査担当だったため私は何気に期待していた。
検査をしている教室に入ると、案の定女子担当は先生だった。
2組の後半の方に差し掛かった。
私はずっと先生を見ていると、前髪の長い人は写真の時だけ強制的にピンで留めなければいけないと知り、急いでピンをつけた。
「もうちょいピン寄せて。」
私の前の子が軽く注意を受けていた。その子がピンを直している少しの間、私は先生と話せた。といっても
「たかが写真撮影だろ。」
という先生に私が
「写真撮影だからですよ〜。」
とか、茶化した会話だけなんだけど。
「よし、オッケー。」
いよいよ私の番。マスクを外して、じっと先生を見つめる。
「もうちょいそっち。」
私は言われた通り、ピンで留めた前髪を少し寄せた。
「お前いいけど、バッジ直せよ。」
私は後ろの友達のを見た。
「そんな上ですか?」
「そんな上じゃなくてもいいけど、左にずれてるから真ん中にしろよ。だっせー。」
「んもぅー。」
私は写真の列に並びながら、直そうとしたが上手くいかない。友達が
「やってあげる。」
と言うので任せたが、
「やっぱ上手くいかないから自分でやって〜。」
ひたすら友達と爆笑していた。
バッジも無事つけ終わり、写真撮影まであと少し。私のクラスが検査を終えたところで、先生とバッチリ目があってしまった。
すると、先生が自分の左胸を指してから、私を指差した。
私は自分の左胸を見ると、さっき外して胸ポケットにしまったマスクのゴムがはみ出していた。
私は笑いながらスカートのポケットにしまうと、
先生はわざと顔をしかめてみせる。
私の好きな顔。
「顔めっちゃ赤いよ。」
友達が教えてくれた。私は写真撮影までのほんの少しの間、頭を冷やした。
写真撮影を終え、友達と教室へ帰る。
その帰り道、私の頬はまた火照りだした。