12月27日

 今日は年越し前最後の男バレの練習だった。

 「明日練習試合だから、ゲームやるぞー。」

 先生も参加型の試合形式で、ゲーム練習が始まった。ちなみに、私は先生と同じチーム。

 
 試合中、チームの人がレシーブをはじいた。私は一応カバーに入ろうと思い、体育館の防球ネットに向かって走っていったとき、ネットを踏んづけてそのまま転んだ。

 私はよく転ぶので、受け身は得意だった。
 今回も大きな音を立てず、さりげなく転んで終わったはずだった。

 「なにしてんの。」

 どうやら先生にバレていたらしく、すごく恥ずかしかった。

 「転んじゃいました。」

 「ボールとってから転べよ。」

 (カバーできるボールじゃないってわかってるくせに。)

 先生にいじられるのは慣れてきたつもりだがまだ照れる。要するにまだ慣れていないからなんだけど…。そんな事実、認めたくない!

 私も先生に負けず劣らずの天邪鬼なのかな。


 その日は最後ということもあり、男バレは練習後に軽く掃除をしていた。私はどうしていいかわからなくて、突っ立っていると、

 「お前もう帰ってもいいよ?」

 先生が声をかけてきた。

 「今、帰っても乗るバスないです…。」

 (もう少し早く言ってくれたら帰れたのに。)

 私はとりあえず更衣室でゆっくりと帰り支度をして、学校が閉まる10分前に更衣室を出た。

 丁度男バレが先生の話を聞き終え、解散したところだった。

 私が廊下を歩いていると、先生が後ろから

 「お前帰る手段無いの?」

 そう聞いてきた。

 「あるけど、待ち時間長いです…。」

 「何分?」
 
 「30分くらい。」

 「勉強してればすぐやん。」

 そう言って、今年最後の先生と別れを告げた。

 

 (もし、帰る手段ないって言ったらどうなってたのかな…。)

 その日は帰りのバスの中でそんなことばかり考えていた。

 (先生に良いお年をって言えばよかったぁ。)

 そんな後悔の気持ちも混ざりながら。