終業式が終わり教室に戻ると、すぐに帰りのHRが始まった。

 (先生廊下通るかな…?)
 今日は隣の担任が休んでいるので副担である先生が隣のクラスを担当していたのだ。


 「あっ。」
 一瞬だけど見えた。本当かっこよすぎ。

 (いいなぁ。隣のクラス…。こうなったら、ぜったい廊下で待ち伏せして話しかけてやる!)

 そう決めた私はHRが長引かないように担任に軽く圧をかけておいた。それは関係無いだろうが、とりあえず隣のクラスより先にHRを終えることができた。


 「バイバイっ。」
 冬休み中もどうせ講習という名の授業で会えるため、少し雑に友達への挨拶を済ませ、廊下に飛び出る。


 どうやら少し早かったらしい。隣はまだHR中だった。私は自然を装うために、ロッカーにノートなどを詰めていると先生がHRを終え、隣の教室から出てきた。

 (あっやばい、めっちゃ目合う…。)
 ドキドキしながらも先生にいつも通りに話しかけた。

 「先生、スーツかっこいいですね。」
 「いつもな。」
 「いや、スーツがですよ。」
 「いつもな。」
 
 (いや、確かにいつもかっこいいけど。そんなこと絶対言ってやるもんか。)

 私は、ちょっと意地になってそう言った。