11月24日

 今日は午前練習だった。

 私は体育館の扉を開け更衣室に向かうと、通りかかった監督用の机に缶コーヒーの空があるのを発見した。

 (これ先生だな…。ブラックなんて飲めるのかぁ、意外。)

 私は先生が時々子どもっぽいから、ブラックとか苦いのはダメだと思っていた。

 (今日は男バレが午後練だから、その時渡せばいいか。)

 そんなことを考えながら着替えを済ませ、更衣室を後にした。



 メニューを考えなければと思い、ボールをいじりながら時計とにらめっこしていた。

 
 女バレの1年は割と早く集合するので、今日も時間前に全員揃い、準備も全て完了。

 
 すると、数分後にはベンチコートを着た先生がやってきた。私はこんなに早く会えてラッキーと思いながら、

 「先生、ゴミは持ち帰ってください。」

 と言って、空の缶コーヒーを押し付けた。


 「あげる。」

 「いや、私の性癖疑われるようなことしないでください。」

 そんな会話をしたあと、先生はコーチ用に前の日準備しておいた机を持ってステージ側のコートへ向かう。私は椅子を運ぶのを手伝おうと、持ち上げた瞬間、先生は私を見て

 「俺行っちゃうけどいいの?」

 といたずらっ子みたいな顔をして聞いてきた。私は思わず、

 「えぇ、行かないでくださいー。」

 と反射的に言った。それを聞いた部員は

 「今日、男女合同練習だよ。」

 と言ってきた。

 (もっと早く言ってよ。)

 私は昨日、バスの時間があってみんなより早く帰ったので、合同練習だなんて知らなかった。

 でも、先生とまた練習ができるのかと思うと嬉しくて嬉しく、口の端が上がりっぱなしだった。


 ただ、男女合同練習は楽しいので嬉しかったけど、せっかく考えたメニューが台無しになったのはすごく残念だった。