11月23日

 「土曜日、一緒に練習しない?」
 
 金曜日の練習中、先生がそう言ってきたので、土曜日は男女合同練習となった。
 
 男バレも2年生がいなくて人手不足だったし、先生も午後は用事があるらしく、女バレの午前の割り当てで練習したいとのことだった。

 「お前の大好きな筋トレだなー。」

 その日も男バレのやつにいじられていた。

 「本当やだわー。キツいし。先生、筋トレいらないんじゃないですかね?」

 私は冗談でそんなことを言った。

 そしたら先生は、

 「やりたくないなら練習わかれてやろ。別に一緒にやんなくてもいいんだよ?」

 「えぇー、それはやだ。」

 「筋トレやるなら全部やるし、やらないんだったら全部やらない。どっちがいい?」

 私はプライドが高いので、全くやらないと言われるとやらなきゃいけない気がするタイプ。先生は多分それを利用してきた。

 「全部やります…。」

 他の女バレのみんなは笑っているが、

 (絶対バテてついてこれないからな。見てろよ。)

 この時、私は対抗心みたいなものを燃やしていた。


 案の定、筋トレでバテていた女バレをよそに、私は男バレの人たちと一緒に、次々とメニューをこなしていた。

 すると、先生が私を見て

 「そんなに涼しい顔してやる?」

 と、馬鹿にしたような笑みで言ってきた。

 その言葉に私は優越感のようなものを感じた。

 先生の練習は本当に楽しいので、他の部員にこの時間を共有して欲しくない。そんな嫉妬心から芽生えた気持ちなのだろう。


 いつもは楽しいはずの先生の練習に「楽しい」とは別の感情が生まれていた。