11月21日
この間は、体育の授業を3時間潰して、応急処置の講習が行われた。
講習会は地味に嬉しかったけど、体育を3時間も潰されたことに関しては不満しかなかった。
おかげで今週は体育の授業0。ありえん。
講習は、地元の消防署の消防士と、救急救命士によって行われた。
講習会の前に、あらかじめ決められた班ごとに並ばされた。私は列の1番後ろで、後ろには体育の先生が固まって座っていた。もちろん先生もその1人。
先生との距離がかなり近かったので姿勢を伸ばしてちゃんと聞いた。
私は一応将来の夢が救急救命士だったので、その日の講習はすごく興味深くて、普通に楽しかった。
1時間ごとに途中休憩をはさんだ。私が友達と話していると、先生が私の名前呼んでいた。
「なんですか?」
「俺、今日部活行かないから。代わりにこの先生にメニューとか預けとくからさ。」
「え〜、先生来てくださいー。」
私はあからさまにがっかりしてみせた。でも先生の答えは変わらなかった。
(せっかく誘ったのに。)
今2年生は修学旅行に行ってて不在。だから先輩の目を気にせず仲良くできるチャンスだった。
私は、先輩の前でも先生とはよく話すけど、後からいじられるのであまり普段通りに話せない。
それに、先生は2年生がいない上にコーチも来ていない私たちを地味に心配してくれている。
そう思っていたのに…。
講習会も終盤に差し掛かり、班ごとの実習を終えた後、また最初のように列で並んだ。
私は座ってすぐ横を見て、驚きで思わず2度見してしまった。
先生は何故か私の隣に座って話を聞いていた。
先生は横顔もすごくかっこよかったけど、恥ずかしさでほとんど横を見ることができず、おまけに緊張で話もほとんど入ってこなかった。
でも、何かを期待してしまう自分がいた…。
「お前と先生座ってる時、ツーショット撮っておいたぞー。」
カメラ担当で今日代わりに部活を見に来てくれる先生がそう言ってきた。
「やめてくださいよ、もう〜。」
プリントアウトしてほしかったけど、なんだか恥ずかしくて頼めなかった。
先生と並んで座れただけで満足だったし、しかも先生の方から隣に来てくれた。
嬉しくてその時は、部活のことなんかすっかり忘れていた。