その日は女バレの練習が無かった。割と多くの部は部活があったけど…。
私はとても暇だったので、自主練して帰ろうと思い、ボールを1個持って第2体育館へと向かった。
その日、男バレはネットを2つ立てて体育館をフルで使って練習していたため、私は隅っこで自主練することにした。
先生はまだ来ていないらしい。
壁打ちの練習をしていると、
「ちょっとサーブレシーブやりたいから、サーブ打ってもらっていい?」
同じクラスの男バレに声をかけられたので、男バレの練習に参加することになった。
男バレはボールが少し大きくて、ネットも高かったので、ミスを連発してしまった。でも男バレの人はノリが良く、私を励ましてくれたり、たまに入るサーブを褒めたりしてくれた。
私は男バレのチームワークの良さに少し憧れを抱いた。女バレにはない「互いを尊重」する感じと家族みたいな温かな雰囲気を感じたから。
先生は私が帰る数分前に来た。
「来たかったら、また来ればいいよ。今日は忙しくて見てやれなかったけど。」
「おっけーです。お疲れ様でした。」
先生にそう告げ、私は体育館を出ようとした。すると、
「バイバイ、また来てねー。」
男バレの明るい声が聞こえ、すごく胸が暖かくなった。
私は幸せな気持ちで、廊下に置いたバッグを背負い帰ろうとした。
すると、その時先生が
「お土産貰った?」
そう尋ねてきた。先生は先日行った出張先でのお土産をあげると言ってくれた。
「貰ってないです。」
「ちょっと待て。ほらよ。」
先生がお土産を投げてきたので、ちゃんとキャッチして、お礼を言った。
「ありがとうございます。」
包装紙に可愛い桃の絵がたくさん書いてあるシフォンケーキだった。
私は食べる前にスマホで写真を撮って、お気に入りに追加しておいた。
シフォンケーキは先生と違って、甘くてふわふわしていた。可愛いのは先生と一緒だけど。
なんつって。