体育祭終了後、体育委員は片付けに追われていた。

 大量のパイプ椅子と長テーブル運ばされるなんて思ってなかったので、とても辛かった。

 テントの柱なんかは束にしてあって重いので、2人じゃないと運べなかった。

 柱を運ぶとき、先生は私に向かって

 「お前そっち持て。」

 と言ってきた。

 私は、先生と共同作業が嬉しすぎて内心舞い上がっていた。

 だから文句一つ言わずに手伝った。

 それなのに…、


 先生は、1人で重いテントの柱を持って歩く体育委員長を見て、私の反対側を近くの体育委員に任せ、体育委員長の手伝いにいってしまった。
 
 私に手伝わせたのに、体育委員長の手伝いに回られてすごく悲しかった。

 正直、心が折れかけて泣きそうだった。
 
 片付けも終盤にさしかかり、この柱を棚に入れれば仕事は終わりという時に、ある先生が私の頭にテントの屋根が入った袋をぶつけた。

 私は1番下の棚に、その先生は下から2段目の棚にしまっていたため、私はぶつかった表紙に背中から地面に倒れてしまった。といっても受け身をとって、コロンと丸まっただけでなんともなかったんだけど。

 「ごめん、大丈夫?」

 そう言われ、私は

 「大丈夫です。」

 と答え、すぐに起き上がった。


 先生も近くにいたらしく、私が転んだのを見て

 「お前、そんなか弱くないだろ。」

 そう言って、少し笑いながらも先生のタオルで私の背中の土を払ってくれた。

 私はそれがすごく嬉しかったけど、その日あったいろんな事に拗ねていたため、

 「先生、叩かないでください。」

 少し冗談っぽくそう言った。それに対して先生は、

 「土払ってやってんじゃん。」 

 と言った。

 先生はいつでも私のヒーローだった。私が機嫌悪いのだってこんな風に一瞬で吹き飛ばしちゃうような。

 私にだけ優しくして欲しい。私だけのヒーローでいてよ、先生…。

 私はいろんな気持ちを抱えたまま、長い片付けを終えた。