先輩の仕事ぶりはすごかった。
営業先ではかなり知識があることが分かる対応で、質問されたことにはすぐに応えることができる。持ち込んだ薬品がいつ製造されているか。内容に記されている成分はなに由来の物か・・・

先輩が来たことでドクターも診察を中断してあいさつに来たり、新しい薬品について質問してくる。そこにもすらすらと答えていった。

よく考えれば先輩は私の2年先に入社したばかりだ。なのに、新人の教育を任されたり、営業先でもかなり信頼されている。なによりこのコミュニケーション力の高さと知識の豊富さに私はあっけにとられた。

次の営業先へ向かうとき、ちらりと運転している先輩を見た。
ハンドルを握る手は大きくて筋が通っていて、指はすらりと長い。
片手をハンドルに置いて運転する先輩の横顔はまつげが長くて鼻筋がすらっと通っている。

「なんだ?」
あまりに長く先輩を見ていた私の視線に気が付いて先輩が私を見る。
「・・・すごいですね」
いろいろな意味で。私の言葉に先輩は首を傾げた。