「お前ゴムは?」
「はっ?」
とっさにでた先輩の言葉に私はかなり間抜けな声を出してしまった。
「は?じゃないよ。先輩に対する言葉かそれ。」
「すみません。」
「で、ヘアゴムは?」
ハンドルを握る先輩がちらりと私を見る。ヘアゴムかーとほっとしていると
「なんのゴム想像してんだよ。ばか。」
「想像してません!」
再会して2回目の『ばか』いただきました・・・。
「営業は見た目も肝心だ。髪、縛れ。ヘアゴムなければ輪ゴムで縛れその髪。」
「・・・はい」
せっかく今日のためにカットしたのに。朝シャワーを浴びてセットしたのに・・・。
そんなことを考えながら私は自分のバックからヘアゴムを出した。

「結び目、もっとさげろ。」
「・・・はい」
そんなところまで?と思いながら私は先輩の言うままに髪を縛った。