「返事は?」
「・・・はい」
先輩、実はドSだ・・・きっと・・・満足そうに口の端をあげる先輩に長い月日をかけて自分が先輩のことを美化して考えすぎていたのだと思うほどだった。
もしかしたら保健室の記憶も・・・幻だったのかもしれない。
「行くぞ」
一瞬でもほかのことを考えていると先輩はどんどんと先へ進んでいく。

薬品を入れた専用のバッグの重さに体を傾かせながら私はヒールを鳴らして先輩について行った。

「免許は?」
「ありますけど、ペーパーです。」
私の返事に先輩は小さくため息をついて運転席のドアを開けた。

絶対にこの人私のことなんて覚えてないっ!
出会った初日に”お前”呼び・・・そんな扱いなの・・・!?

私は先輩に気づかれないように一瞬体に力を入れて自分に喝を入れた。
こらえろ!私はまだ新人だ!と。