「かせ」
先輩は私の手から札をとり、元通りに貼ってくれた。
ついでに私の札も『出』『外』にしてくれる。
「ありがとうございます」
私がそう言い終わらないうちに「行くぞ」と先輩は再び先に歩き出した。

背の高い先輩は一歩の幅がかなり大きくて私はついて行くことに必死になる。

エレベーターで一つ下のフロアに向かい、そこでIDを再び読み取ると扉が開く。
中に入るとたくさんの医薬品が並べられていた。

入り口にある大きなケースを先輩は私に渡した。
すぐにキャッチすると先輩の説明が始まる。
「その日届ける薬品のリストはデータに入ってる。そのデータをプリントアウトしてここでこのボックスに薬品を入れる。ものによっては取扱注意のものもあって、だいたいそれはIDを読み取らないと取り出せない仕組みになってる。持ち出す薬品は最後にバーコードを読み取ってこの部屋から専用のバックに入れて出る。バーコードを読み取らないとアラームが鳴るから気をつけろ。」
「はい」
言われたことを頭に叩き込みながら先輩について歩く。