食事を進める中で、少しだけ気になったことがあった。


「あの、芭瑠くん?」

「ん、どうかした?」


「その、芭瑠くんのご両親って……」


今ここに芭瑠くんのご両親はいない。
普通ごはんは家族で食べるものだと思っていたので、気になってしまった。

それに家の中で姿を見かけていないし。


「あー、僕の両親は基本海外だからね」

「か、海外?」


「うん、そう。父親が会社経営してるから。その関係で海外にいることが多いかな。会社は日本にあるけど。母親もついていってるから、日本に残ってるのは僕だけ」


会社を経営してるってことは社長さん……ってことだよね?

芭瑠くんはお金持ちだとは思っていたけど、まさかお父さんが社長さんだなんて。


そうなると、芭瑠くんはお父さんの会社を継いだりするのかな。


なんだか急に芭瑠くんが遠い世界の人のように感じてしまった。


そして少しだけ不安になった。

もしかしたら、芭瑠くんがまた


……わたしの前からいなくなってしまうのではないかと。