「いえ、芙結さまをお守りするのもわたくしの務めでございますので」
「守るって誰から」
「芭瑠さまからです」
「へぇ、僕から」
「はい。芙結さまを目の前にしますと芭瑠さまは野獣のように芙結さまに食いついてしまうので」
「ずいぶん人聞きの悪いこと言うね」
「もう少しご自分を抑えなければ、芙結さまに嫌われてしまいますよ?」
やっぱりこの2人の関係っていまいち謎。
見えない火花が飛び散ってるように見える。
「芙結に嫌われるのは無理」
「でしたら、芙結さまのペースも考えてあげてください」
やっぱり年齢が柏葉さんのほうが上なだけあって、対応が大人。
きっと小さい頃から芭瑠くんのお世話をしてきてる人だから、芭瑠くんの扱いにもよく慣れてるっていうか。
「芙結さま」
「は、はいっ」
いきなり名前を呼ばれてびっくりしたせいで、勢いよく返事をしてしまった。