「今の芭瑠さまがいるのは……芙結さまのおかげと言ってもいいくらいなんです」


「そん、な……っ」


「芙結さまのためなら芭瑠さまはどんな困難も乗り越えてきました。

だからこそ、今の芭瑠さまにはあなたの存在が必要不可欠なんです」


胸にジーンとくる言葉。
人差し指で、こぼれてきた涙をそっと拭う。



「今もかなり大変なときですが、芙結さまがいるから頑張れると常に言っておられました。

ですから……ひとつだけ、わたくしのお願いを聞いていただけないでしょうか」



目を合わせることができなかったのに、今は自然と柏葉さんの目をしっかり見ていた。



「もし、芙結さまが少しでも芭瑠さまのそばにいたいお気持ちがあるのならば、そばで支えてあげてはもらえないでしょうか……?」