先輩たちの声を聞きながら昇降口に向かって、靴を履き替えた。

今日は寝坊してくるのが遅かったからか、たくさんの生徒とすれ違う。


近所の人や学校の人とすれ違いたくなくて時間をずらしてたのに……。



職員室の前を通って教室に行こうとした時、


「おはよう」


職員室からでてきた先生とばったり会った。

「おはよう……ございます……」




先生、私はこの時から先生のことが好きだったのかな。

先生の声が聞けてよかったって思ってたんだ。


なのに私を縛るのはいつだって"過去"だった。


話したかったのに、上手く話せなかった。




私は小さな声で挨拶をしてまた歩き出した。





「はぁ?またあいつセンセーと話してるじゃん」

声が聞こえて振り向けば、いつも通り歩生さんたちがいる。


「あの時からちょーしのっててほんとむかつくんだよね」



4人が私に近づく。

私は怖くなって後ずさる。



あの事件があってから余計敏感になってしまった。


「何もしないからさー見学学習はぜったいこないでよね、目障り」



そう言って私を抜かして行ってしまった。

私はその場に立ちつくす。