私はその日の帰りにお花屋さんに寄って、両親が好きだった百合の花を買った。

私にできることはそのくらいしかないから、百合が枯れたら必ず買って添えている。


百合の花を腕に抱きながら、家路を歩く。

百合の花が鼻腔をくすぐる。


百合の香りに気が緩みそうだった時。


「また花持ってるわ」

「ほんとね〜後悔してるんでしょうね」

「そりゃそうよ〜自分の親と他人まで殺したんだから」

「わたしだったら外にも出れないもの」


また、いつも通りだと思った。

でも今日は違った。




「あの子がわたしの息子を殺したの!!!!」

いつもとは違う声がした。

見たことのないひとだった。



「返して……」

その人の目から涙が零れた。



「なんであんだがのうのうと生きてるの?」

「ねぇ答えてよ!!!!!」



私の手から百合を奪い取って捨てた。

「なんでわたしの息子には花ひとつも与えないくせに!ふざけんな!」