コトバを返したいのに返せない。

私少しおかしいんだ……。

なんでかわからないけどおかしいんだ。


「今日は話さないんだな」

「えっ……」

「昨日けっこう話してくれたのに」



私は赤面してしまいそうだった。

昨日は自分でも驚くほど話してしまっていた。


「……た、またま……」

「残念、花園が俺のこと嫌いなの知ってるから大丈夫」



ねぇ、先生……違うんだよ。

初めは嫌いだった……先生じゃなくてひとが嫌いだった。



わからないんだ……今の気持ちが。

だけど私は笑っちゃダメだから。笑えないんだ。



でもね、先生にそんなに悲しそうな顔してほしくない……。

この気持ちにうそはない。



嫌いじゃないです、って言える勇気はまだない。





「じゃあ、また明日もここで」



先生が席を立ち上がった。

私も教科書を片づけて立ち上がる。



「復習しとけよ」

私にそう告げて私と反対方向に歩いていった。