先生が私に少し近づいて、ふたたび私の頭に手を置いた。

胸が痛い……。痛いってつらいじゃなくて苦しいじゃなくて胸が痛い……。



「置かれてる状況が変わらなくても、解決はしなくても言うだけですっきりすることもある」




誰に何を言われても私の心は揺らがない、揺さぶられないーーー。




────はずだったのに。


先生のコトバが私の胸を打つ。

先生のコトバが私の心を打つ。




「ひとりで抱え込むな」


いつもなら……目を逸らして、踵を返してた。

なのに、私はいつの間にか。




首を縦に振っている。



「俺はいつもここにいる」

「うん」

「何かあったらいつでも」

「うん」





ねぇ、先生。

先生はこの時どんな気持ちだったの?

どんな気持ちで私に言ったの?


ごめんね────私は自分が一番かわいそうだって思ってた────。



だから先生の思いに気づけなかったーー。