廊下に出て、歩き始めた時。

スクールバッグからヒラヒラと何かが落ちた。



それを拾って、ふたつ折りされていた紙を広げると、



『ゆっくり休め』





名前は書いてないけれど、わかった。


端正な字。口調は丁寧ではないけれど、先生のやさしさは伝わってくる。


なんだろう、このキモチ。


ひさしぶりに感じるあたたかさ。




私はその紙をぎゅっと握りしめて学校を後にした。









次の日、いつもみたいに海に行って時間を潰して学校に向かった。


ザァザァと雨が降り続いている。


傘に雨があたる音が少しだけ心地よく感じた。



正直、今日はいつもに増して学校に行きたくない。


動揺や混乱で自分でも完全には覚えていないくらいのことをしたから。


あれだけ大人数の前で……思い出すだけでいたたまれなくなる。




学校に近づくにつれて、心臓が早鐘を打っていく。