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あまり得意ではないにおいに気づいて、ぱっと目を覚ました。


ここどこ……。


「あ、花園さん、よかったわ。少しは良くなったかな?」


若い保健室の先生は私のおでこに手を当てながら訊ねる。



あ……お昼の記憶が走馬灯のように蘇ってきた。


先生に助けられて……。ここまで連れてきてくれたんだ……。


「はい……」



辺りを見渡すともう暗くなっていた。

日が長い今、それでこんなに暗いならよっぽどの時間になっているはず。



「ひとりで帰れそう?帰れないならお家の方に迎えにきてもらう?」

「大丈夫です、帰れます」




「今日の話は明日詳しくするって、担任の先生がおっしゃっていたわ、とりあえず今日はゆっくり休んでね」

「はい……ありがとうございました」


ベットからゆっくり起き上がって、髪を軽く手で梳かして、誰かが持ってきてくれたスクールバッグを肩にかけて保健室をでた。