その時、誰かが近づいてくる音が聞こえた。


今度は何をされるの……かな。

ぼんやりする意識の中で恐怖を覚えた。




座り込んでいる私の肩に温かい手が触れた。



「お前ら何してんだよ」

「で、でも……っ、これは……」


どこからか焦った声が聞こえる。




「こんなんなるまで人のこといじめて何してんだよ!!!!!」



真隣から聞こえた大きな声で閉じかけていた瞼が少し開いた。



私の目に飛び込んできたのは、

キレイな顔を歪ませている





先生だったーー。





「何が楽しい?見てるだけなら怒られないと思ったのか?これを見ておもしろいってお前らの神経どうなってんだよ!」


「いつまでもそんなことで笑ってんなよ」



騒然としていた中庭が静寂に包まれていく。


私のことなんてかばわなくていいのに……。

先生の評判下がっちゃうよ……。



先生が私を抱きかかえた。

そしてどこかに向かって歩き出した。



「もう大丈夫」

「こわ……か、た」


私の身体に回った腕にぎゅっと力がこもった。

やさしい言葉が温もりが私の心にずーっと入ってくる。




私はここで意識を手放した。