「やめて……っ」


伸ばした手から力が抜けていく。



『────せいでみんな死んじゃったんだよ』

『人殺し』

『もう二度と────しないで』


『私のお母さんとお父さんかえしてよ』





「はぁ……っ……っ……はぁ……ぁ」


聞きたくないのに過去から聞こえてくる声。

息ができない…………。

聞きたくないのに聞こえてくる声のせいで平常心は失われた。



あの時の声が私の心を頭を……すべてを支配する。


混乱させる。取り乱そうとする。


『人を不愉快にさせる────だね』



「うぅ……はぁっ……っ……」



私は立っていられなくなりへなへなと地面に座り込んだ。


「は?こいつおかしいんじゃないの?」




たったこれだけで思い出してしまう。

だって忘れちゃだめだから。


私は人殺しなんだから。


何人ものひとを殺した。この────で。



「すぅ……っ、はぁ……」




怪訝そうな顔で見られても、笑われてもそんなことを考えられる余裕はなくて。