本当は逃げ出そうとした。

だけどこわくて、震えてなにもできなかった。


「あたしあんたのこと許さないから」


「ねぇ、まりやそろそろやめよう?」

「は?なんで、そもそもこいつのこといじめたいって言ったのあんたたちでしょ、何いまさら」




思い出したくはない……けど中学生の時だってこんなにされたことはない。

そのくらいの恨みをかってしまったんだ。


あの時話なんて聞かなきゃよかったと思っても仕方のないことを考えてしまう。



「謝れば"今は"許すよ?謝るか、大きな声で歌うとかは?あんたっていつも音楽の時間サボってるよね?」


「……っ」



頭がいたい……。

いたい……苦しい……。



私の身体は余計に震え出した。

音を立てて震える身体。


自分でも驚くほど震えていた。


「ほんと目障りなんだよ」



私を無理矢理立たせて、


「大きな声で歌うか謝るかどっちにしてくれる〜?はやくしないと休み終わっちゃうよ〜?」

「そんなに嫌い〜?だってあんたの──────「やめてっ……」