「言っただろ、そばにいるって、約束しただろ。ちゃんと眠るまでそばにいるから……」




先生はやさしくやさしく切ないほどやさしく私を安心させるように背中をぽんぽんと。

そして今までで一番やさしく私の頭を撫でる。





「しあわせだった?」




私はきっと明日を迎えることができない。

先生のとなりで笑うことはできない。




「し……あ……わせ…………だ……た」



でも、それでも私はしあわせなんだ。

今、私は世界一のしあわせ者。




「俺もしあわせ────」




孤独だった私に居場所をあたえてくれたのは先生でした。

猜疑心の中でひとりで生きていた私を救いあげてくれたのは先生でした。




先生の明日に私はいないけれど、私はずっと先生のしあわせを願うよ。



明日がくるって当たり前だと思いがちでおろそかに過ごしてしまうことだってある。



みにくい世界だから苦しむことだってある。


でも先生はそのままでいいんだよ。そのままでいいの。何も変わらない先生でいてほしい。





私は最後の力を振り絞って先生の手を握り返した。


今、脳裏をかけめぐるのは先生との思い出ば
かり。

愛おしい思い出だけで溢れてる。




『約束』

『はは、花園っておもしろいな』

『お前といると楽しい』




「あ……り……が……と…………う……」



私は先生の腕の中で眠りにつく。

先生ありがとう、私はとてもしあわせでした。