恥ずかしかったけれど、先生を見つめ返す。



「花園の歌はやっぱりいいな」

先生が満面の笑みを私に向ける。



「ほんとにありがとう」

先生は私の頭にぽんと手を置いた。



その笑みを見た時、なぜかわからないけれど、涙が浮かんできた。





私はずっとずっと居場所がほしかったんだ。


必要とされたかった。認めてほしかった。



こんな私を好きだと言ってくれるひとがほしかった。



その思いが強くなればなるほど大事ななにかを失って、自分もまわりも傷つけてきた。


そんなことしなくてよかったのに……。ありのままでいればいいのに……。


生きているだけでじゅうぶん価値があることに気づかなかった。


生きてるだけでいいのだと、先生が教えてくれた。




「また泣いてる」

「……っ……」

「俺が泣く方じゃない?」




先生がフッと笑って私の涙を服の袖で拭う。



「うれしかったよ。約束守ってくれてありがとう」




私は先生の前で何回泣くのだろう。

もう何回も泣いた。昔は全然泣けなかったのに。


朝日さんに目を向けると私たちをみて笑っていた。




「見せつけないでよね!」

朝日さんと先生の笑みが私の胸をあたたかくさせる。






先生、ありがとう。

私も先生に笑いかけた。

先生は涙ぐんだ目を細めて笑い返してくれた。






先生は私に光を与えてくれると言ったけれど、私にとって先生は光そのものだから。

先生がいれば明日も明後日も…………私の世界は輝き続けるんだーー。