車いすに乗らないといけないところ、自分でご飯が食べられないところ、認知機能障害のせいですぐに不安症になるところ、昔のことを忘れちゃうところ、日付もわからなくなるところ、ボサボサの髪、寝巻きの格好、点滴の跡。



ぜんぶぜんぶださいから。



服の袖から見える腕、たくさんの傷。視線を横に移すと先生の白くてキレイな腕が目に入る。




「な……にも…………でき、な……い……から」


なんて惨めな姿なのだろう。自力じゃなにもできなくて、役に立たなくて。




「何もできないってことはないし、ださくもない」

「…………」

「毎日毎日がんばってる」



私は首を振る。だってなにもがんばってないから。ただ寝ていることしかできない。



「がんばって言葉を伝えようとしてくれる、傷できるまでがんばってる」

「…………」

「ゆっくりでもちゃんと伝わってる。わかってる俺が食べさせるとうまいんだろ?つらいのに」

「…………」

「毎日毎日必死で生きてるやつがださいわけないだろ」

「……っ…………」

「俺は好きでここにきてるんだ」