「熱ある?」


先生が私の前髪を上げて、おでこに触れる。



先生……無自覚なのかな……そんなことしたら私の顔はもっと赤くなっちゃうじゃん……。



「熱はないな」



先生は白いプラスチックのスプーンでお粥をひとくちすくって、私の口元に近づけた。


私が先生を看病した時みたいに。



私が動かしにくい口を小さく開けると、零れないように丁寧に入れてくれた。




「フッ、そんなにうまい?」

「う……ん……」



おいしいよ……先生が食べさせてくれるとおいしく感じる。



先生が丁寧に入れてくれても、私のせいで零れてしまう。



私が申し訳なさそうにすると、「大丈夫」って笑って拭いてくれるんだ。


寝巻きの格好、ボサボサの髪、うつろな目、思うように動かせない身体。

軽蔑されてもしかたない身体なのに……。




いつもと変わらず、話しかけてきて、たくさん笑ってくれる。