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「…………の……花園…………」



誰かに名前を呼ばれてるような気がして、重いまぶたをゆっくり開けて、ぱちぱちさせてみると意識がはっきりしてきて。

真っ白な世界が広がっていた。


あ……また寝すぎちゃった。さっきよりも暗いからかなり時間が経ってしまったみたい。



「おきた」


声がした方に顔を動かす。



「せん……せ」

「うん、ちょっと遅くなった」



全然遅くなってないよ……。スーツを着ているからきっとまっすぐきたんだろう。

伝えたいことはいっぱいあるのに言葉にできない。



「食べられそう?」

「……ん…………」

「朝日さんだっけ?私がやるよりよろこぶからって言われたんだけど」




え……そんなにあからさまに……。



少しずつ顔が熱くなっていくのを感じて。前だったら顔をそむけることもできたのに、今はすばやく背けられないから。


赤い顔が露になってしまう。