「先生、世界ってこんなにも美しいんだね」

先生は目を細めて空を見上げて、私も続いて見上げる。

いつもと同じ光景。だけど、先生の顔はいつもと全然違くて。


「そうだな。みにくいところばかりが目に入るけどほんとうはキレイなんだ。黒に消されてもちゃんと輝いているんだな」


先生、私もっとはやく気づきたかったなぁ。

もっとはやく先生と出会いたかったなぁ。



「先生が私の世界を明るくしてくれたんだ」

あの日先生と出会わなかったら私はどうなっていただろう。

考えるのがこわすぎるくらいだ。

しあわせ、キレイ、美しいとは無縁だった。


あぁ、世界はなんでこんなにもみにくいのだろう。

でも、なんでこんなにも輝いているのだろう。

ちゃんと輝いている、先生の言う通り見えないけれど、目立たないけれどちゃんと煌めいている。



「先生ともっとはやく出会いたかった。もっと話したかったな」