最後……最後……最後。

退屈な授業も今日が最後なんだ。もう身体が自由に動かないから。

私は学校に通えない。先生と屋上で話すのが最後だと思うと寂しかった。


「先生になろうと思った理由、花園正解だった。俺自身もわかっていなかったんだけど。たぶんそうだったんだなって思ったんだ」

「先生はもうなりたい先生になってるよ……でもこれからももっともっとがんばってね」

そのとなりに私はいないけれど。


なんとなく言っているわけでも、適当に言っているわけでもない。先生ならなれるって思ってるから言っている。


「美咲がごめんね、ありがとうって言ってた」

「役に立てたならよかったよ」

美咲さんと話をしてきた先生はいつもよりも柔らかい表情だった。

私もそうだけれど、すぐに罪意識がなくなるとは到底思えない。

でもいつかいつか……時間がかかっても前に進んでいきたいと心から思う。






先生と一緒に過ごしたのはほんの少し。わずかな時間でもたくさんの思い出がつまっていて。

湧きだした感情、溢れ出した感情。

こんなに私が大きく変わるなんて、思ってもみなかったんだ。

ここからの景色はとくべつすごいわけじゃない、都会でもないし繁華街でもない。

でも先生と見る景色はこんなにもキレイで。

きっとそれは私も変わったから。すべてがキレイに映るんだ。