「先生は……っ」

「…………」

「私に出会えてよかったって思う……っ?」

「……っ……う、ん……」


私は"あの時"からずっと思ってたんだ。どうして必要とされていない私が生きているんだろうって。

私はうれしいんだ。うれしいから泣いているんだ。うれしいから笑っているんだ。

うれし涙なんて流したのはいつだろう……最後に流したのはいつだろう……。モヤがかかって思い出せない。

"あの時"の私は想像すらつかなかっただろう。

笑顔がこんなにもあたたかいなんて。



「美咲さん明日帰るんだって」

「うん……」

「行かなくていいの?後悔しないの?もう後悔したくないでしょう……?」

「……っ……うん……」

「先生、がんばってよ……っ」


今の先生ならぜったいできるから。

また会える保証なんてどこにもなくて。

先生には、ふたりにはもう後悔してほしくないから。


今度は私が先生の背中を押すんだ。