「泣いてもいいよ」先生に言われるまで気づかなかったけれど、一番ほしかったんだよ。

でも先生もほんとうは言ってほしかったんだね。

毎日どんな気持ちで屋上をみていたの?美咲さんに見覚えがあったのはお見舞いに行った日ベットのとなりの写真を見たから。

毎日どんな気持ちで過ごしていたの?


「先生……気づけなくてごめんね、毎日苦しかったよね……ごめんね先生」



洟をすする音が聞こえてきた。下を向いているけれど、ズボンにたくさんのシミを作っているから泣いているのがわかる。


「先生」

「なに……」

「こっち向いてよ……!泣いててもいいから!」

「べつに泣いてない」


強がりだなぁ。それだけ声震わせといて泣いてないって説得力ないよ……。

私はフフっと笑った。笑うつもりはなかったのに自然と笑っていて。

不謹慎かもしれないけれど、先生のことを知れてうれしかったから。


先生は驚いた顔を私に向けていた。

やっぱり泣いてるじゃん……。