「泣きたかったら泣けばいい、泣き止むまで近くにいるから」

「うん」

「帰ろ」

「うん……」

「なんかあるの?」



こんなことひとに言う機会なんて今まではなかった。

機会があったとしても、言えなかった。

本音なんて、自分の思いなんて仕舞ってた。


「私……笑えるかな……」

「笑える、笑いたいと思ったらいつでも大丈夫」

「うん」



先生が私を助けてくれた。

行き場のない思いに気づいてくれた。


私は先生に言った。私たちの関係は"先生と生徒"を超えていると。

先生は目を伏せて。


『超えてしまっても、俺は花園を助けたいって思ったから』



私は先生が好きなんだーー。


わからないなんてうそだった。


私はもうずっと前から先生が好き。





この"関係"は崩したくない、これ以上なんて望まない。


あと少しだけ先生の近くにいたい──────。