「先生……っ、ごめんなさい……っ……」

「…………」

「私のこと嫌になったでしょ……っ」

「…………」



先生は何も言わずに、地面を見つめている。

私の顔なんてちっとも見ずに。

これでよかったんだ、と自分に言い聞かせる。

私は先生を置いて帰ろうとした。立ち上がろうとした。


その時、先生が私の手を引っ張った。

バランスを崩した私は、

「…………っ」


先生の胸に倒れ込んでしまった。一気に距離がゼロになる。

先生の息遣いが近くで聞こえる。


「もう先生の前から消えるから……っ」


私がやっと出した言葉は震えていて自分でもよく聞き取れなかった。

先生が私の背中に手を回して、私を強く抱きしめた。

先生の胸に頭を押しつけられて、先生の心臓の音が聞こえる。


「花園……っ」

「…………」

「もうやめろ」

「先生だって私のこと嫌でしょ……憎いでしょ」


私は無理矢理先生の胸を押す。

先生にはもう甘えられないから。