目が覚めた時、私の視界に飛び込んできたのは、お父さんとお母さんじゃなかった。

その後に知らされたのは、ふたりが亡くなったということ。

コンサートホール行きのバスが大きな事故に遭った。

原因は居眠り運転。


乗客30人以上が亡くなって、私はショックからしばらく病院からでることができなかった。


だいすきなふたりを失った絶望。

まわりが真っ暗で、色なんてなくって。

ふたりの夢をみては泣いて、醒めないでと願って。

いつもいつも泣いていた。




この時の私はわからなかった、知らなかった。

ほんとうの絶望はこれからだってことに……。


やっと外に出られるようになったのは事故から数ヶ月後。

私はやっとの思いで学校に行った。"あの時"を思い出すことは何度もあったけれど。


普段通り教室に入って、当たり前のように友達に声をかけた。

反応は私が想像していたのとは大きく違った。

軽蔑の眼差し、引いた顔。

「は?」

私の"親友"が冷たく言い放ち、友達がそれに便乗した。