私の周りにはいつもたくさんのひとがいた。

私の周りにはいつも笑顔が溢れていた。



私は歌手だった。

お気に入りのギターを手に、あらゆるところで歌っていた。

歌がだいすきだった。見にきた人を感動させる、それが私のモットーだった。


小さな頃から両親と海に行って歌っていた。

この海は私たち家族の思い出の場所。


『わたしいまからうたうねっ!いい〜〜っ?』

『わぁっ、ほんとに〜?ママたのしみだなあ〜』


『パパは〜っ?』

『もちろんだ〜〜パパもたのしみだ〜!』


『ゆいちゃんのうたがいちばんすきだなあ』

両親は私を"ゆいちゃん"と呼んだ。

練習は言葉では言い表せないほどつらかったけれど、応援してくれている両親がいたからがんばれたんだと思う。


学校に行くことはほとんどなかったけれど、私には"親友"がいた。

たくさんの友達がいて、応援してくれているひとがたくさんいて、挫折なんて言葉はこれっぽっちも知らなかった。