「そのせいで、おしろいによる鉛中毒も問題視されたんだけど、製造が禁止されたのは昭和九年のことだったんだよね」

いきなり怖い話を聞かされ、あたしの背筋がゾッとなる。先生はニコニコしながらあたしの手を取った。

「じゃあ、次のオシャレを見に行こうか」

また目の前が白く輝いた。



次に目を開けた時、そこは日本じゃなかった。美しいドレスを着た婦人や立派なスーツを着た男性が歩いている。

「ここは……?」

「ヴィクトリア朝時代のイギリスだね」

「ヴィクトリア朝?」

歴史がわからないのであたしは首を傾げる。先生はすぐに解説してくれた。

「ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた時代のことだよ。ただこの時代のオシャレは本当に危険だったんだ」

先生は道を歩く女性たちを指差す。うわっ、めちゃくちゃウエストが細い。どんなダイエットしてるんだろ……。いいな〜……。

「とってもスタイルいいね!細すぎるぐらいだよ」

あんな風に細くなりたい、と目を輝かせるあたしに先生は「じゃあ体験してみよう」と言ってあたしに魔法をかけた。その刹那、あたしの着ている制服は美しいドレスに変わる。ドレス姿を先生に見せるなんて初めて。おまけにとってもウエストが細くなってる!でも……。