「機械に巻き込まれたある女性は、頭蓋骨が潰れて亡くなったんだって」

先生は真っ青になるあたしを抱きしめ、「怖いね、ごめんね」と言う。あたしは先生の背中に腕を回した。体の震えが少しずつ収まっていく。

昔のオシャレは、今と比べ物にならないくらい命がけだ。オシャレをしただけで死ぬなんて……。

「大丈夫?もう帰ろうか?」

先生はそう心配そうに言うけど、もっと知りたいという気持ちの方が強い。それに帰ったらまた先生から離れないといけないもん。

「大丈夫!怖くなったらまた抱きしめてもらうから」

あたしがそう笑って言うと、先生の口からも笑い声が漏れた。ふわりとあたしの頭の上に手が乗せられる。

「わかった。それじゃあ、移動しようか」

あたしたちは手をつなぎ、中流階級の人たちが暮らす住宅街へとやって来た。そこのある一軒家に入る。仲の良さそうな家族が朝ご飯を食べているところだった。

「オシャレで怖かったのは、女性だけじゃないんだ。男性も命を落とすことがあった」