顔を真っ青にするあたしに、先生は「この時代のオシャレはまだまだ怖いよ」と言って移動する。すると目の前を大きく膨らんだスカートの女性が歩いているところだった。

「あれはスカートの中に骨組みを入れてスカートを膨らませているんだ。十九世紀の大半は大きく膨らませたフープスカートが流行っていたんだけど、これも危険だった」

「何だか歩きにくそう……」

現代でも、ふわりとスカートを膨らませることはあると思う。あたしもロリータっぽい服を着る時にスカートを膨らませるよ。でもそれはスカートの中にパニエを履くからなんだよね。

「フープスカートは体からかなり離れたところまで張り出していたから、女性たちは歩く時に細心の注意を払わないといけなかったんだ。骨組みをつけている時にスカートに火が燃え移ったり、スカートが風にあおられて、桟橋や崖から落ちそうになることもあったらしい。さらに機械や馬車の車輪に巻き込まれるなんてこともあったんだって」

「めちゃくちゃ怖い……」