「ふんっ、負けねーし」

「はは、それでこそ晴だよ」

意味がよくわからなくてポカンとしていると、ムスッとした晴くんに頭を小突かれた。

「おまえは……フラフラしてんじゃねーよ」

ますます意味がわからなくて首をかしげると、今度は天地くんが噴き出した。

「ひまりちゃん、こいつは言葉足らずでわかりにくいかもしれないけど、すっげー優しいヤツだから嫌わないでやってね」

「そんな、嫌うだなんてっ」

とんでもない。逆はあっても私はないよ。晴くんみたいにすごい人。

晴くんのおかげで私の世界に明かりが灯った。一緒にいると優しい気持ちになるんだ。

「ひまりちゃん、夏休みは予定ある?」

「え? 特になにもないよ」

「八月二十五日が晴の誕生日だからお祝いしてあげてね。こいつ、毎年夏休みだからみんなに祝ってもらえないってスネてんの」

「スネてねーし。ひま、こいつの言うこといちいち聞かなくていいから」

「でも誕生日なんだよね? それはお祝いしたいかも」

「でしょでしょ? ひまりちゃんがお祝いすると喜ぶよ。ひまりちゃんの誕生日はいつ?」

「私は十一月六日だよ」

「へえ、じゃあお祝いしなきゃな、晴!」

「天地くんは?」

「俺はもう終わったんだよね。四月二十二日」