次の授業の予習をぼろぼろにされた教科書でしていると、机に何かが置かれた。
「斉藤さん、お花あげる。
あたしがわざわざ持ってきたんだから感謝してもしきれないよね」
白い菊。
ああ、わたしは死んだってこと?
あんたが死ねばいいのに。
「どうしたのお?
うわあ、斉藤さん怖い、怖すぎる」
「アハハ、リサやりすぎー」
「えーリサ怯えてんのー?」
「かわいー、もっとやってー」
立ち上がって、リサを見据えた。
「文句あ……」
言い終わらないうちに、花瓶を払いのけた。
空中で花が花瓶から抜け、すぐに落ちた。
花瓶だけが飛んでいく。
盛大な音が直後に響いた。
かなり遠くの机にまで水はかかったけれど、誰も拭くこともせずに黙り込むだけだった。
数秒後、リサが空気を切り裂いた。
「……いけないんだー。
みんなの弁当と制服、弁償」