この前染め直したばかりの髪の毛をくるくると指に巻き付けながら歩くと、全部に笑えてくる。



「お前調子に乗んなよ」



振り返ると、わざわざ追いかけてきたらしいリサがわたしの髪の毛を掴んだ。



「お前ふざけんな。

今すぐ殺したいわ」



そう言って、ポケットに手を突っ込んだ。



何をするつもりなんだろう。



本当に殺す気なんだろうか。



それでもいい。



好きなようにすればいい。



「お前の態度の全てにむかつくんだよ」



取り出したのはハサミだった。



リサの右手にはハサミ、左手にはわたしの髪の毛があるから髪の毛を切るつもりなんだと分かった。



もうすぐ先生も来るのにどうやって言い訳するんだろう。



「あれ、三村じゃん。何やってんの」



振り向かなくても分かる。



リサは両手に持っていたものをパッと離し、笑顔でわたしの横をすり抜け、声のする方に向かっていった。



「おはよう、陽介!」



「何やってたの」



「髪の毛切ってほしいんだって、斎藤さん。

それであたしが切ってあげようと思って」