びっくりした。



あいつが家にいるところなんて見られたらなんて言われるか分からない。



いくら病気とは言ってもこの年代の男女が同じ部屋にいるということは何かあると思われても仕方が無いのかもしれない。



……あれ?



なんか今の言い方、わたしが受け入れているみたいだ。



そんな訳ないない。絶対にない。



赤い気がする頬を両手で抱え込んで電車に乗り込んだ。



隣に並んでいたサラリーマンが何があったのかと言いたげな目線を向けていた気がしたけれど、それどころじゃなかった。



頭の中はものすごいパニック状態だ。



ああ、考えすぎると熱がぶり返す。



……でも。これは。



分かっていたんじゃないか。



本当は、ずっと前から気付いていたはず。



でも、自分で自分を騙しながらやってきた。



……これは、たぶん、いやきっと。



間違いなく。



わたしはあいつが、青木陽介が、好きなんだ。



揺れる電車の中で、恋を自覚した。